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学校長メッセージ

2025.04.11

三学期終業式(令和六年度)

    皆さん、お早うございます。

    今日は学年の締めくくりである第三学期の終業式です。あっという間に三学期が過ぎ去り、本年度も終わりを告げようとしています。終業式は常に心を整理しアップデートしなければならない大切な行事です。特に三学期の終業式は、一度、立ち止まって自分自身を見直す絶好の機会です。終業式を単なる儀式と思わず、新年度に向けての心の準備になる節目であって欲しい切に願っています。

 この三学期を振り返ってみると、高三の卒業証書授与式、高一のスキー合宿、高一、高二のマラソン大会などの学校行事、また、来年度、新入生を迎える高校入試も無事終了することができました。これも偏に皆さん方の協力があってのことであると感謝しています。ご苦労様でした。

    さて、この一年を振り返ってみて、あなた方の心の成長、学力の向上はどうでしたでしょうか。あなた方、一人ひとりの努力、頑張りはどうでしたか。満足することができるほど頑張ることができたでしょうか。一瞬、胸に手を当ててください。中には実りのある豊かな学校生活を送り、充実感、達成感を味わっている人もいますが、中には心が豊かにならず、思うようにいかず、迷いが生じて、学習面、生活面において、じくじたる思いをしている人もいると思います。結局はこの一年間、目の前にある「今すぐにできること」にどれだけ真面目にコツコツ取り組んだかどうかが、学習面、生活面での成長に大きく影響していると思います。継続的な努力、たゆまぬ努力なしには成果ありえません。「もっと努力をすればよかったのに」と後悔し、やり残し感を感じている人は、そのやり残し感と少しの後悔をバネに、前向きになって次年度に生かして欲しいと思います。

    さらに、学校生活、集団生活を振り返ってみると、皆さんの協力のお蔭で、全体的には実に落ち着いた、素晴らしい環境で学校生活を送ってくれました。しかし、残念ながら、クラス内でのトラブルが少しばかり起こりました。

  人は日常生活のさまざまな場面で自分中心の見方をしています。それは、人それぞれに考え方が異なり、立場や状況も違うからです。しかし、私たちは社会の中で、たった一人で生きているわけではなく、お互いに助け合い、支え合って日々の暮らしをしています。このような環境の中で、常に自分の考えが正しい、あるいは自分だけが苦労している、、損をしているなどと思っていると、常に相手が間違っている、楽をしている、得をしていると錯覚してしまいがちになるのです。自分と違う意見や考え方に出くわした時は、自分の物の見方や発想に新たな視点が加わったと思うべきです。世の中に助けられ、支えられている自分に気づき、より多くの意見や考え方を吸収してください。

 このような受け止め方をすることができるには、やはり、「豊かな心」が必要です。「豊かな心」の原点は「いつでも、どこでも、誰にでも、選ばず、嫌わず、見捨てない」とする全ての人々とともに歩み、手を差し延べ、支え合おうとする心です。しかし、この境地の心構えを身に付けることはなかなか困難であるとされています。なぜなら、人は一人では生きていくことはできません。必ず集団となって生活を営む習性があります。悲しいかな人は集団生活の中にあっては、他の人々より少し上に立ちたい、優越感を持ちたいと思ってしまうことが度々あるのです。その心は「今だけ、ここだけ、私だけ、選んで、嫌って、切り捨てる」の心境になり、いわゆる、学歴主義、エリート意識、ブランド志向が芽生えてくるのです。出来れば「良い」できなければ「悪い」とする成果主義、比較の世界が台頭します。人として人世を歩むうえで大切なことは「平等心・豊かな心を育むことです。この心を育めば、誰もが心豊かにして幸せな生活を送ることができると確信しています。

 高校生活はあっという間に過ぎ去ってしまいます。あとで後悔することがないように、与えられた環境の中で、「今」を大切に「今」を無駄にしないで、一歩先の精神で学習はもとより様々な活動に励んでください。

 話が変わりますが、二月二十八日にめでたく卒業証書授与式が挙行されました。卒業式は涙が出るほど感動的でした。一番こころに響いたことは、一人ひとりに母校愛、愛校心が育まれていたことです。卒業式の終わりに、卒業生がクラスごとに退場する時、クラスの一同が「先生、お世話になりました。ありがとうございました」と心から言っている笑顔と同時に惜別の涙を流している姿を垣間見ることができました。そして、その瞬間、先生方には満面の笑みが浮かび、三年間の思い出がよみがえり、三年間の苦労が報われたと感じ、教師冥利に尽きる喜びを感じる一瞬であったと思います。

 私は卒業式の式辞で次のような言葉を贈りました。

 『本日、卒業証書を手にすることができたのは、一人ひとりの努力があったことはもちろんのことですが、その陰には多くのお力添えや愛情があったからです。とりわけ、保護者、ご家族の皆様の庇護は何事にも替えがたいものです。

 卒業生の皆さん、今日まで手塩にかけ、温かく見守り、育てていただいた保護者、ご家族の皆様に感謝しましょう。真心を込めて「ありがとう」という言葉を何度も何度もかけてください。いくら感謝しても、感謝し過ぎることはありません。是非、保護者、ご家族の皆様にご恩返しをしてください。あなた方にできる一番のご恩返しは健康で、人に迷惑をかけずに、楽しい人生を送ることです。これが最高の恩返しです。』と付け加えました。

 私の好きな言葉に「鬼面仏心」という四文字があります。これは、人としてしっかりと理解して受け止めなければならない言葉です。私たちは保護者、先生、人生の先輩から自分の我儘な行動についてあれやこれやと指導を受け、厳しい顔つきで注意された時に、ややもすると「うるさいな、どうでもいいやろう、ほっといて」と悪態をつき、不遜な態度を取ることがあります。しかしながら、心に留めなければならないのは、はたして、ご縁の少ない、周りの人々が心からの言葉で注意をしていただけるであろうかと思うことです。叱咤激励されたあの怖い顔の内側には「親心」「愛する人思う真心」という「仏心」が満ち溢れていると感じ取ることが大切です。

 現代社会を見回してみると、人に見せる顔は笑顔であっても、その内側は身勝手な自分を貫く鬼の心、つまり「仏面鬼心」が宿っている人が多くなっているのは寂しい気がします。

 保護者の方、先生方、周りの方々も、あなた方に直さなければならないところがなければ、正す必要がなければ、何も小言を言うことはありません。どうか、鬼のような形相で叱られた時には「私のことを思っていてくれる」と思って素直な態度で接して欲しいと思います。

 あなた方も、卒業する時には、保護者の方に感謝し「近代泉州で良かった。近代泉州で夢を、幸せを見つけた。」と言えるように、これからの学校生活を送ってください。学校もできる限りの教育環境を整えて、内外から高い評価を頂けるよう努力をしたいと思っています。

 三学期が無事に終わり、今年度が終了しました。報恩感謝。自分自身に感謝、保護者の方々に感謝、先生方に感謝、助けていただいたすべての方々に感謝しましょう。そして、この春休みを大切に過ごしてください。各学年課題が出されていると思います。提出期限を守ることができるよう日々計画だった学習をして、だらけることのない充実した家庭生活を送ってください。

 最期に宗教詩人の坂村真民氏の詩を紹介したいと思います。

 それは「希望」と題する詩です。朗読します。

  「希望」

  漫然と生きているのが

  一番いけない

  人間何か希望を持たねばならぬ

  希望は小さくてもよい

  自分独自のものであれば

  必ずいつか

  それが光ってくる

  そして 

  その人を助けるのだ

 以上で話を終わります。

 

 

 

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