学校長メッセージ
2026.03.11
令和七年度 第五十一回 近畿大学泉州高等学校 卒業証書授与式
「春風や 幸せ運べ この子らに」
校庭の木々の蕾もほころび始め、神が宿るここ神於山にも、確かな春の息吹が感じられる季節となりました。
この佳き日に、学校法人泉州学園 近畿大学泉州高等学校 第五十一回卒業証書授与式を挙行できますことは、私どもにとりまして大きな喜びであり、感謝に堪えないところでございます。
先ほどは、ご多忙の中、岸和田市の佐野市長様にご臨席賜り、ご祝辞を賜りましたことを心より御礼申し上げます。また、本日、ご臨席を賜りましたご来賓の皆様、保護者の皆様、ならびに多くの関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。さらに、卒業生の皆さんの出身中学校の校長先生、教頭先生にもご臨席を賜り、この佳き日に花を添えていただきましたことを厚く御礼申し上げます。
ただ今、高等学校卒業という人生の大きな節目を迎え、未来に向かって羽ばたこうとしている百四十二名の皆さん、「ご卒業、誠におめでとうございます」
希望と不安、別れと出会いが交錯するこの日、皆さんは今、新たな世界へと羽ばたこうとしています。三年間、勉学はもとより、学校行事や部活動に真摯に取り組み、本校の歴史に新たな一ページを刻んでくれました。その姿に、心から敬意と称賛の意を表します。
同じ学び舎で皆さんの成長を見守ることができたこのご縁を、教職員一同、何よりありがたく思っています。皆さんの存在そのものが、私たちにとってかけがえのない宝物であり、幸せの源でありました。改めて深く感謝申し上げます。
ただ今お渡しした卒業証書には、本校が大切にしてきた「人を思いやり、人を愛する心」、すなわち「豊かな心」が込められています。保護者・ご家族の皆様の深い愛情、そして私たち教職員の、皆さんへの「幸多かれ」との願いが、その一枚一枚に宿っています。それはきっと、生涯にわたり、皆さんの心の支え、拠り所となってくれることでしょう。
保護者の皆様。
これまでのお子様方の高校生活には、語り尽くせぬ喜びとともに、多くのご心配やご苦労がおありだったことと存じます。その惜しみない愛情が実を結び、今日、この卒業の日を迎えられましたことに、深い敬意と感謝を込めてお祝い申し上げます。「ご卒業、誠におめでとうございます」
今後、お子様方は山あり谷ありの人生を歩んでいくことになります。迷い、悩んだとき、何よりの支えとなるのは、いつも変わらず寄り添ってくださる保護者の皆様の存在です。「私たちは、いつもあなたの心のそばにいるよ」――その温かな思いが、お子様方を幸せな道へと導いてくれるものであると確信しています。
卒業生の皆さん。
今日まで温かく育て、支えてくださった保護者・ご家族の皆様に、心から感謝しましょう。「ありがとう」という言葉は、何度伝えても伝え過ぎることはありません。健康で、人に迷惑をかけず、自分らしく人生を歩むこと――それこそが、皆さんにできる最高の恩返しです。
さて、皆さんが過ごした三年間を振り返ると、学校生活においては皆さんのご協力と、保護者の皆様のご理解とご支援のもと、学校行事や学年行事を概ね通常どおり実施することができました。文化祭や体育大会では、日々の集団生活で培った力を存分に発揮し、青春の輝かしい一ページを刻んでくれました。ハワイ修学旅行では異文化に触れ、友情を深め、豊かな心を育み、スキー実習や学習合宿での経験も、互いに支え合い、目標に向かって努力する大切さを学ぶ貴重な機会となりました。これらすべての経験は、皆さんの人生におけるかけがえのない財産となることでしょう。
一方、世の中に目を向けると、社会が大きく動く時代でもありました。世界は急速に変化し、価値観は多様化し、技術革新は私たちの生活や学びの在り方を大きく変えています。
心躍る出来事といえば、大阪・関西万博などを通じて、日本の取り組みや活躍が世界に注目され、平和や科学分野でも高い評価を受けたことでした。さらに、政治の世界においても変化が見られ、社会全体が大きな転換期を迎えていることを実感する年月でもありました。
これからの社会は、「Society 5.0」と呼ばれる新しい時代へと進んでいきます。AIが進化し、仕事の形も、学びの方法も変わります。しかし、どれほど時代が変わろうとも、最後に社会を支えるのは「人の心・心の有り様」です。
ここに、卒業生の皆様が幸せになることを心から念じて、三つのはなむけの言葉を贈ります。
一つ目は、「学び続ける人であれ」という言葉です。
アメリカのIT企業・アップルの創業者であったスティーブ・ジョブズ氏はスタンフォード大学の卒業式で、「Stay Hungry. Stay Foolish.」「常にハングリーであれ。愚か者であれ。」という言葉を贈りました。この言葉に込められたメッセージは、「常に求めよ。常識にとらわれるな。挑戦する心を失うな」と解釈されています。
人から与えられる学びには限り、有限です。しかし、自ら求める学びには限りがなく、無限です。どうか、自分の可能性を信じ、 未知の世界に踏み出す勇気と、問い続ける姿勢を持ち続けてください。
二つ目は、「回り道も幸せな歩み方である」という言葉です
これから皆さんが歩む道のりは、常に陽の当たる、バラ色の坂道ばかりとは限りません。人生に悩んだとき、ふと思い出して心を癒してほしい言葉があります。それは、「回り道」という三文字です。
人生は一直線ではありません。思い通りに進む日もあれば、立ち止まる日もあります。けれども、立ち止まった場所でこそ見える景色があります。回り道は、遠回りではなく、自分を深める時間です。迷ったときは、自分を責めるのではなく、自分を見つめ直してください。
目標を達成し、幸せをつかむ道には、近道もあれば回り道もあります。それが人の道、すなわち「人生」なのです。ともすれば、近道を選びたくなるのが人情ですが、回り道の中にこそ、本当の自分と出会う瞬間があります。
三つ目は、「常に、夢見る青春の心を忘れずに」という言葉です。
人生百年と言われる長い人生を歩むうえで、時代や社会がどのように変わろうとも、青春を謳歌する初々しい心を持ち続けてください。青春とは人生の一時期のことではなく、「心の有り様」のことです。人は年齢を重ねたときに老いるのではなく、夢や理想を失ったときに老いるのです。若者であろうと、どれほど年を重ねていようと、幼児のような好奇心、子どものような探求心、青年のような挑戦する心を持ち続けていれば、人は常に若く、前向きに夢を追い続けることができるのです。
結びに、あなた方の希望が叶うことを願って、この詩を届けます。
「念ずれば花ひらく」という仏教詩です。
念ずれば花ひらく
苦しいとき
母はいつも口にしていた
このことばを
私もいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ
ひらいていった
自らを信じ、努力を重ねる人に、必ず花は開きます。焦らなくてよい。比べなくてよい。自分の花を、自分なりに咲かせればよいのです。
創設五十三年を迎える泉州学園で、皆さんは「誠実・礼節・友愛」の校訓のもとで学び、「豊かな心」を育んできました。この泉州精神こそが、人生の道で迷ったとき、必ず立ち戻ることのできる原点です。
これからは自分で考え、自分で進むべき道を選択し、一歩先に歩み出ていかなくてはなりません。楽しいことよりも、時には悲しいことや辛いことに出会うかもしれません。うれし涙よりも、悔し涙を流すことの方が多いかもしれません。涙でつくる小さな海で心が溺れかけることもあるかもしれません。しかし、その涙が潮を引くように、「落胆・後悔」の海から「希望」の船に導いてくれるのが、あなた方がこの学校で培った「豊かな心」、すなわち「泉州精神」です。
青春の真っ只中を本校で過ごした歳月を忘れないでください。いつの日か、成長した姿で、笑顔で母校を訪ねてきてください。その日を、教職員一同、心より楽しみにしています。これからも、常に「我が母校近畿大学泉州高等学校」「我が心のふるさと泉州学園」と、声高らかに誇れるように、充実した楽しい生活を送ってくれることを切に願うとともに、皆さんの前途に、限りない幸多かれと心より祈念し、式辞といたします。
卒業生の皆様。
「どうか健康で、幸せな人生を歩んでください」。
令和八年二月二十七日
近畿大学泉州高等学校 校長 堀川 義博
