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学校行事

2020.03.09

近畿大学水産研究所大島実験場見学会

近畿大学水産研究所大島実験場見学会

[発信日:令和02年03月09日]

 本校は、二年ごとに近畿大学水産研究所の実験場見学を実施しています。将来大学で水産に関することを学びたい、あるいは魚について関心がある生徒による希望制をとっています。今回は1年生4名と2年生3名、さらにこの4月から近畿大学農学部水産学科に進学が決定している3年生1名が参加しました。訪れたのは近畿大学水産研究所の六実験場のひとつ、本州最南端和歌山県東牟婁郡串本町大島に位置する大島実験場です。ここで養殖されたクロマグロは、今では「近大マグロ」として近畿大学の登録商標となっています。

 

○3月5日(木)

 学年末考査後、13時15分発のスクールバスで和歌山に向かいました。車庫でバスを乗り換え、17時前に「ホテル&リゾーツ和歌山串本」に到着しました。途中、バスが横に揺さぶられるほどの強い寒風が吹きすさぶ日でしたが、夕食はこごみや菜の花、筍、鰆など春の到来を感じさせる食材が彩られ、他の海の幸も十分堪能させていただきました。参加者一人一人が自己紹介を行い、その晩は各自思い思いに過ごして翌日の研修に備えました。

 

  

 

○3月6日(金)

 バイキング形式の朝食は、宿泊者が盛り付けに使用する用具を共有しないように小鉢・小皿で提供されており、コロナウイルス対策が図られていました。カツオ茶漬けなど郷土の味覚が並んだ朝食で体を目覚めさせ、いよいよ大島実験場へと出発です。大島は「くしもと大橋」で本土と結ばれており、バスで行くこと20分ほどで高台のホテルのちょうど対岸に望める大島実験場に着きました。

 まずは建物のなかに入り、大島実験場長の澤田好史教授から、近畿大学水産研究所が推進している「つくり育てる漁業」が目指すものについてお話していただきました。天然の稚魚から育てるのではなく、人工ふ化した仔魚を親魚まで育て、採卵し、人工ふ化させて次の世代を生み出していく完全養殖を推進している理由や、完全養殖による増産を将来的に持続可能なものにするには何が必要かについて、生徒は熱心に聞いていました。

 

  

 

 その後、港で救命胴衣を着用して船に乗り、最初にクロマグロの成魚の網いけすを見学しました。3年で30kgまで成長し、40~50kgで出荷されるとのことです。昨年7月の台風では、時間をかけて育て上げた魚たちも被害を受けたとのことで、自然の猛威が養殖にとって一番の弱点であると痛感しました。

 

  

 

 

 

 次に若魚の網いけすに船をつけました。ふ化してから40日たった稚魚を陸上の水槽から海上の網いけすに移すと3か月で30cmくらいに成長します。マグロは動き続けるので、網いけすのなかで体を傷つけないような工夫を重ねたこと、いかにマグロにストレスを与えないようにするかについてのお話に生徒も引き込まれ、さまざまな質問が出ました。小さな魚にエサを食べさせるのは難しく、苦心の末方法を見つけたそうです。生徒からその方法について質問がでると、「将来ぜひここにきてください」とのことでした。

 現在、国際ルールで生産履歴の厳格化が図られ、誰が養殖魚にエサを与えたか記録されるとのことです。国際的な流通に生産履歴管理は必須であり、とくに日本の養殖魚の輸出が増えている現在、養殖現場でしっかりと基準を守ることが必要です。以前はさせていただいたエサやり体験を生徒は楽しみにしていましたが、できなかったのは致し方ないことです。

 

 

 

 陸にあがり、建物で今一度澤田教授から、水産資源の増産には海だけではなく陸上の森を含めた生態系が重要であるとのお話しをいただきました。関心の深い生徒が参加しているだけあって、教授の問いかけにも積極的に答えていました。当初の見学予定時間をオーバーし約1時間30分の滞在となりました。実験場の方々にはお世話になり、大変ありがとうございました。

 

 

 

 続いて美しい海岸の風景を眺めながらバスで西に15分ほど走り、串本海中公園に入場しました。串本の海を再現した大水槽では、生きたサンゴが揺れ、色彩豊かな魚たちが泳ぎ回り、皆食い入るように観察していました。ウミガメパークでは、重さ100kg超もいるアオウミガメが泳ぎ、ここではエサやりを楽しみました。水中トンネルでは、サメやエイ、クロマグロなどが回遊していました。

 

  

 

 

 

 沖合140m、水深6.3mの海中展望塔では、テーブルサンゴの間に熱帯・亜熱帯の魚や生物が動き回る串本の海を観察できました。ここは本州で黒潮が最も近く接する海岸であり、暖かく澄んでいることから、世界最北のサンゴ群落が形成されており、湿地保護を目的とするラムサール条約に登録されています。

 

 

 

 

 

 海中公園のレストランで昼食後、13時に出発し、15時にJR和歌山駅、つづいて南海和歌山市駅でそれぞれ解散し、各自帰路につきました。

 今回参加した生徒たちの様子から、魚が好きだというシンプルで一番強いものを感じることができました。自分の「好き」を志望する大学での学びにつなげていけるように日常の努力を続けてください。

 水産学科志望者に限らず、日本の漁業経済や国際的な農水産物ビジネスに関心がある者にとっても、現場の状況や世界の現状を見聞きできるまたとない機会となります。次回、ぜひ参加してみてください。

 

 

 

 

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